【徹底解説】ドッグフード成分表や原材料の見方~これでカロリー計算もマスター~

こーくん
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みなさま、ドッグフードの成分表を見たことがありますでしょうか?また、理解できていますか?

毎日あげているドッグフードが、いったいどんな成分やバランスでできているのかは、意外と考えたことがない飼い主さんも多いと思います。

ドッグフードの成分表を理解することは、愛犬の健康維持にもつながります!

今回は、こんな疑問にお答えします。

この記事でわかること

  • ドッグフードにおける表示内容のルール(義務・任意)
  • 成分表や原材料を見てわかること
  • 毎日あげる”総合栄養食”とはなんなのか
  • 数値の見方
  • ツールを使って簡単カロリー計算

愛犬の食事管理の参考になると思いますので、ぜひ読んでみてくださいね。

※当ページの情報は執筆時点のものであり、最新の情報は各サービスの公式サイトよりご確認ください。
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ドッグフードのパッケージの表示内容とは?

ドッグフードのパッケージの側面には、原材料や原産国、賞味期限…など、さまざまな項目が記載されていますよね?

実は『愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)』に記載内容が厳格に定められています。

こーくん
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逆に記載しなくて良い記載内容もあるということです!その点も注意してみていきましょう。

ドッグフードの安全性に関する法律

ドッグフードやキャットフードなどのペットフードにおいては、法律に基づいたルールがあります。

平成21年、6月1日より、『愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)』が施行され、いかなるペットフードもこの基準を満たすよう作られるようになっています。

この法律により、ペットの健康に悪影響を与えるペットフードの製造や輸入・販売も禁止となっています。

その背景には、平成19年3月に、アメリカにおいて、有害物質のメラミンが混入したペットフードが原因で、多くの犬や猫など愛がん動物が亡くなるという痛ましい事故があったからです。

同6月には、メラミンが混入したペットフードが日本でも輸入販売されていたことが判明しました。

この事象を重く受け止め、わが国でもペットフードに関する安全基準を設けるような法律が制定されました。

それにより、国は、国内に流通するペットフードを監視し、問題が生じたときには、廃棄や回収を事業者に命じることができるようになりました。

さらに、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)による製造業者への立ち入り検査は定期的に行われ、その検査結果はネット上で公開されています。

これらの法律やしくみにより、ドッグフードの安全性は担保されているのです。

ペットフードの表示内容

上記法律に基づき、ペットフードの表示に関しても、記載項目のルールが定められています。

ペットフードの義務表示について

  • ペットフードの名称
  • 賞味期限
  • 原産国名(最終加工工程を完了した国)
  • 原材料名(添加物を含む全てを表示)
  • 製造業者名および住所
こーくん
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これらの項目に関しては、日本語で表記することが義務付けられています。

あわせて、ペットフード公正取引協議会が定めた『ペットフードの表示に関する公正競争規約』により、下記を記載するよう、任意のルールもあります。

ペットフードの表示に関する公正競争規約の表示について

  • 成分表
  • ペットフードの目的 (総合栄養食、間食、療法食、その他の目的食の別)
  • 内容量
  • 給与方法

ペットフード公正取引協議会は、任意の団体であり、参加していないメーカーのペットフードも多くありますが、いずれもこのルールを守っています。

ここで、知っておきたいポイントとしては、上記でお伝えした成分以外の表示については、しなくてもいいということです。

こーくん
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つまり、詳細に記載されているフードとそうではないものがあるのは、これが背景にあります。

ペットフードの成分表について

ペットフードの成分表については、下記にある5大栄養素の含有量の表示ルールが定められています。

5大栄養素とは?

  • タンパク質
  • 脂質
  • 繊維質
  • 水分
  • 灰分
こーくん
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メーカーによっては、これらに加えて、ビタミンや必須脂肪酸などやほかの栄養素の値も公開されています。

成分表でわかること

  • ライフステージに合っているのか?
  • 体形に合っているのか?
  • 抱えている悩みに合っているのか?

などを把握・検討することができます。

それでは、5大栄養素とビタミンなどほかの栄養素について、それぞれの役割を深堀していきましょう。

タンパク質

たんぱく質は、健康的なからだを作るためにはとても重要な栄養素で、2種類に分けられます。

たんぱく質の種類

  • 構造性タンパク質:からだの細胞や臓器類、血管や消化器管、筋肉や皮膚などになる
  • 機能性タンパク質:ヘモグロビンやアルブミン、消化酵素やホルモンなどの生理活性物質になる

また、タンパク質はエネルギー源になると同時に、アミノ酸やペプチドには、犬や猫の食欲を増進する嗜好性向上効果があるものもあります。

一般的には、肉食寄りの雑食動物である犬にとっては、良質なタンパク質が豊富である食事が望まれます。

シニア犬は注意!

シニア犬や腎機能が低下している犬においては、タンパク質の制限をする必要があることもあり、注意が必要です。

脂質

脂質には、中性脂肪として知られる『単純脂質』と、『複合脂質(リン脂質、糖脂質、リポタンパク質)』、『誘導脂肪(ステロール類)』の3種類があります。

この中でも、脂肪は三大栄養素のひとつとして、エネルギー源となる等重要な役割がいくつもあります。

脂質の代表的な働き

  • エネルギー源となる
  • 必須脂肪酸の供給
  • 生理活性物質や脳・神経の構成成分となる
  • 脂溶性ビタミンの溶媒となり、移動と吸収に関与
  • 代謝水(摂取した食べ物が体内で分解されるときに生じる水)の供給
  • 犬や猫における嗜好性の向上

などがあります。

脂肪酸は、『不飽和脂肪酸』と『飽和脂肪酸』よりなり、前者は肉類や乳製品など動物性油脂に多く含まれて、後者は植物性油脂や魚油に多く含まれています。

繊維質 (≒炭水化物)

炭水化物は体内で分解され『糖質』と『食物繊維(繊維質)』にわけられます。

主な炭水化物の役割は?

  • 血糖値の維持
  • エネルギー源
  • 脳や赤血球の働きや、体温を保つため

などに利用されます。

糖質には、エネルギー源となるグルコースやフルクトースなどがあります。

一方、繊維質には水様性のものと不溶性のものがあり、前者は、脂質の吸収を抑制する働きが、後者は満腹感を増幅させる働きがあります。

こーくん
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便通を刺激して便を固める効果があること、また『かさ増し』としてダイエット食によく用いられます。

どれくらいの炭水化物量が多い?少い?

なお、肉食寄りの雑食動物であるワンちゃんにとっては、どれくらいの炭水化物量が多め?少なめ?なのかどうかは気になるところですよね?

炭水化物の量が多いか少ないかの判断基準としては、タンパク質や脂質などといったほかの栄養素の割合によります。

すなわち、グレインフリーの食事の場合には、タンパク質メインの食事となるため、炭水化物は極めて少なく配合されていますし、一般的な総合栄養食であれば、成分の半分以上が炭水化物となります。

こーくん
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そのため、具体的に、『○○以上が多い!』『△△以下だと少ない!』といった指標は特にありません。

また、炭水化物量が多い食事であったとしても、ドッグフード中の炭水化物は、犬が消化できるまで細かくされているために、特に心配はいりません。

療法食なども販売している大手メーカーにおいては、炭水化物量が最も多く配合され、それによる有害事象も当然ながらありませんよ。

炭水化物の量の計算式

ドッグフードの成分表には炭水化物の量の表示義務がないため、その量が分からない場合がほとんどです。

そんな時は下記の計算式で算出することができます。

炭水化物の量の計算式

100%-(タンパク質(%)+脂質(%)+灰分(%)+水分(%))=炭水化物(%)

なお、炭水化物においては、フードごとにタンパク質と脂質含量が大きく変わるため、30~60%程度と幅を持って配合されています。

水分

水分は、体内で最も多い物質であり、体重の65%程度を占めています。

また、動物は体脂肪の大部分、体タンパク質の半分以上を失っても生存が可能であるが、体水分の20%程度を失うと死亡されるとも言われるくらい、とても大事な栄養素です。

水分の役割は?

  • さまざまな代謝に関係(食べ物の消化や栄養・老廃物の運搬など)
  • 血液やリンパ液、涙や唾液などの成分
  • 抗体や白血球などの輸送媒体
  • 体温調節

などといった役割があります。

こーくん
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一日に必要な水分量は、飲水量として、体重1kgあたり50~60cc程度と言われています!

季節や食事内容(水分量は、ウェットフードで60~70%程度、ドライフードで10%程度)によって必要摂取量は異なります。

そのため、清潔で新鮮な水を常に飲めるよう、工夫してあげましょうね。

灰分

灰分は、カルシウムや鉄、ナトリウムやマグネシウムなど、ミネラル分のことを言います。

ミネラルの機能

  • 歯や骨の構成成分となるω3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)
  • pHや浸透圧の調整
  • 各種タンパク質やリン脂質のように体成分の構成
  • ビタミンのように代謝に関与

といった役割があります。

ミネラルには欠乏症と過剰症があり、バランスの良さが大切となってきます。

ビタミン

ビタミンは、動物の代謝に必要な微量栄養素で、体内では必ずしも十分な量を合成できないため、食物より摂取する必要があります。

ビタミンの多くは、生体内にて酵素の活性を発揮するための補酵素として、あるいは特別な栄養上の必須機能を持っています。

それゆえ、欠乏したり、過剰に存在することでそれぞれ独特の欠乏症・過剰症が生じます。

必須脂肪酸

脂肪酸は、『必須脂肪酸』と『非必須脂肪酸』に大別されます。

必須脂肪酸

  • ω6系脂肪酸(リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸)
  • ω3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)

これらは、体内で合成することができないため食事やサプリメントから補う必要があります

ペットフードの原材料について

ペットフードの原材料については、『肉や魚など何が使われているのか?』の確認以外にも、

原材料でわかること

  • 添加物の有無
  • アレルギー食材の有無
  • 太りやすい食材か?ダイエット向きの食材か?

などの確認ができます。

多い順に記載されていても、どの原材料がどれくらい用いられているのかは明記されていないので、成分表と合わせて理解をする必要があります。

ワンちゃんによっては、サーモンが好きな子、チキンが好きな子…などさまざま食の好みがありますので、愛犬に合わせて選んであげましょう。

こーくん
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不要な添加物と必要な添加物については、下記の記事を参照してくださいね!

総合栄養食の成分表示はAAFCOに基づく

総合栄養食の成分表示は、AAFCOの基準に基づいています。

AAFCOとは、全米飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)の略称で、ペットフードの栄養基準や原材料、表示に関する基準を公表している米国の団体です。

日本の総合栄養食の成分基準は、ペットフード公正取引協議会により、AAFCOの基準を参考に定められています。

総合栄養食とは

  • その食事と水のみを与えていれば、健康が維持できるようなバランスの取れた食事のことです。

総合栄養食以外には、間食(おやつ)や療法食、その他目的食などがあり、これらのみを与えている場合には、からだを壊してしまう可能性もあります。(※療法食は獣医師の指示の下使用している場合には、問題ありません。)

総合栄養食には、そのペットフードが適応する成長段階が必ず表記されています。

  • 幼犬・幼猫期/成長期またはグロース
  • 成犬期・成猫期/維時期またはメンテナンス
  • 妊娠期・授乳期
  • 全成長段階またはオールステージ用
こーくん
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全成長段階またはオールステージ用が、一番馴染みがあると思います!

なお、総合栄養食は日本の基準に基づいた表記なので、海外製造のドッグフードには記載がない場合もありますただ、表記がなくとも、原産国の基準をクリアしている場合がほとんどです。

数値の見方について~何%が高タンパク?何%が低カロリー?何%が高脂質?

上記でお伝えした通り、ドッグフードにおいては、AAFCOの基準において製造されています。

それゆえ、基準を満たしていないフードはなく、また何%以上が高タンパク、低カロリーなどの基準も特にありません。

ただ、平均値と比べると下記の通りとなります。

高・低タンパクの基準

一般的には、タンパク含量が27%以上であれば高タンパク、20%を下回ると低タンパクなフードであると言えます。

高タンパクの基準

  • タンパク含量が27%以上

低タンパクの基準

  • タンパク含量が20%以下

高・低カロリーの基準

カロリーにおいては、100gあたり、おおよそ350kcalが平均値となっています。

400kcal以上で高カロリー、340kcalを切ってくる場合には、低カロリーである食事の傾向があります。

高カロリーの基準

  • カロリーが400kcal以上

低カロリーの基準

  • カロリーが340kcal以下

高・低脂質の基準

脂質においては、平均値がおおよそ10~13%程度なため、それ以上で高脂質、それ以下で低脂質と考えるといいでしょう。

高脂質の基準

  • 脂質が13%以上

低脂質の基準

  • 脂質が10%以下

フードのカロリー計算について

ダイエット中の子や少しやせ気味の子については、「カロリーの見直しをしたいな!」と思うタイミングもあると思います。

その場合は、獣医師広報版の『犬のカロリー計算』を使えば、愛犬の1日あたりの必要カロリー量の計算を簡単にすることができますよ!

▼簡単に犬のカロリー計算ができるツール

引用:獣医師広報版(R)|犬のカロリー計算ver3.0

こーくん
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どういう計算になっているか気になる方の為に、下記でさらに深堀していますので参考にしてくださいね。

犬が1日に必要なカロリー(1日あたりのエネルギー要求量:DER)については以下のような計算式があります。

1日あたりのエネルギー要求量(DER)の計算式

1日あたりのエネルギー要求量(DER)=安静時のエネルギー要求量(RER)×活動係数

ただし、これを計算するのに、犬が何もせずにじっとしているだけで消費するエネルギー量(RER)を算出する必要がありますので、まずはRERを計算してみましょう。

1日あたりの安静時のエネルギー要求量(RER)の計算式

RER(単位:kcal)=【体重(kg)の0.75乗 × 70】 又は、簡便法の【体重(kg)×30+70】

次にこのRERに、『活動係数』という年齢や避妊去勢の有無などを考慮した係数をかけることで、1日あたりのエネルギー要求量(DER)を計算することがでるようになります。

こーくん
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活動係数は以下の通りとなっていますので、ご自身の愛犬に該当する係数を選びましょう。

主な活動係数のリスト

年齢と現状 活動係数
生後4か月未満4.0
4か月齢~成犬2.0
成犬期 去勢・避妊済み1.6
成犬期 未去勢・未避妊1.8
シニア犬期(7歳~)去勢・避妊済み1.4
シニア犬期(7歳~)未去勢・未避妊1.4
肥満傾向1.4
減量中1.0
妊娠中(前半42日間)1.8
妊娠中(後半21日間)3.0
授乳中4.0~8.0(または自由採食)
見出しをクリックすると並び替えができます

必要カロリーが分かれば、ドックフードの100gあたりのカロリー量と計算して、必要なドックフード量が分かるようになっています。

「カロリーについてもう少し知りたいよ!」という方は、1日当たりのカロリー計算や例(チワワの場合・ラブラドールの場)を下記の記事で紹介しているので、是非参照ください。

【まとめ】ドッグフードの表示内容~成分表や数値の見方について

ドッグフードのパッケージには、成分表や原材料など、さまざまな記載項目があります。

また、成分表や原材料はそれぞれわかることが異なります。合わせて、必要な情報をチェックしましょう。

それらをしっかり確認することで、愛犬の体形やライフステージに合った食事を選んであげることができます。

計算方法など難しいこともあるかもしれませんが、今一度チェックをしてみましょう!

参考資料
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